しばしサービス業では「顧客のニーズ」に応えたはいいが、
いまいちな反応を受けることがある。
私は塾講師だったのでこのジレンマに長年悩まされてきた。
成績を上げたいと言われて成績を上げても退塾することが日常茶飯事に起きる。
それを解決してくれたのが「論点思考」である。
論点思考とは
問われている課題(質問)が本当に正しいかどうかを見極める
ことである。
【本質】ニーズに応え続けてるのに退塾が減らない理由【論点思考】
例えば、
12月初旬に女の子とデートをして、
「ねえもうすぐクリスマスだけど彼女っているの?」
の質問に対して、
純粋に彼女の有無を聞かれている
とは思わないだろう。
「クリスマス前だから彼氏が欲しいので、今気になっているあなたに彼女の有無を確認し、いないならば付き合いたい」
と思っていると考えるのがセオリーである。
このように、相手の質問や課題が
「言葉の通り」であるとは限らないし、
言葉の通り受け取って対応しても、満足な結果は得られない。
これが塾だと「英語の成績が上がらないから塾に来た」
みたいな親の要望になる。
しかしこういった課題はあまり鵜呑みにしすぎてはいけない。
ここで論点思考(=本質的な課題解決)の方法を4つ教えたいと思う。
①相手の言葉を鵜呑みせず解決すべき論点はどこか拾い出す
②相手に質問して論点を絞り込む
③論点を確定する
④全体像を確認する
「英語の成績が上がらないから塾に来た」
という課題をまず鵜呑みにしないこと。
ここでは「直感」でも構わないし
「仮説」でも構わないので、
まず相手の言うことを疑ってみよう。
(それは何も「英語の点数を上げたいと思っていない」ということではない。)
英語の点数を上げたいと思っている本当の理由=論点は何かを考えることである。
・英語の成績が他の科目の足を引っ張っているのではないか
・なんとなく英語が受験対策の一番手だと感じているのではないか
・英語より優先すべき事項がないか
・そもそも勉強の習慣は付いているのか
・本人にやる気はあるのかどうか
いろいろと考えることがある。
その中で感じたことは直接相手に聞くべきだ。
「そもそも英語の前に勉強する習慣は付いているのですか?
こう言うと親は、
「そうなんです!そもそも全然勉強しなくて!」
とだいたい返ってくることが多い。
この瞬間に親の要望は英語から勉強習慣に論点が確定した。
つまり親が塾に来させた理由は「勉強の習慣をつけさせるため」
だったのだ。
ここを見誤って、「では英語を週1回から受講しましょう」と言っても、
1ヶ月後、親の不満は溜まりに溜まっている。
そりゃそうだ。週に1回塾に行くだけで勉強したような気になっている子供を週6日見なければいけないのだ。
即刻で不満が爆発して辞めるに決まっている。
その上で「塾を勉強習慣つけるために来てもらう」という論点を全体像で確認する。
すると勉強の習慣がつけば「英語の勉強」も必然的に行うことになる。
だから当初に親が言っていた「英語」に関しても課題解決になっているし、
さらにその上の「本当に解決すべき課題」も見つかっている。
そこで、
「では受講は英語週1回でいいですが、塾にきて自習室を使うのは週4日必須にしましょう」
と提案すべきである。
こうすれば「英語の点数」が仮に上がらなかったとしても、
自習の効果で他の科目の点数が上がっていれば親が塾に不満を言ってくることはまずあり得ない。
相手の言うことを鵜呑みせず
まず疑って見て
本当に解決すべき課題を探り出し(=論点)
聞く中で論点を確定し
それを実行する
これだけで顧客は満足するのである。