生徒が増えない要因を考える
この時によく現場の先生たちは
「退塾の要因を事細かに分析」していた。
そして導き出した結論の多くは「学力低下によるもの」
だった。
私から言わせると「分析の時間が無駄」かつ「本質を付いていない結論で納得させている」ようにずっと思っていた。
ここで重要になってくるのは
仮説思考である。
仮説思考とは、
情報を集めて、分析をして、原因を探るルートではなく、
原因をデータを使わずに仮説として考え、仮説を実証するデータだけを探る
というやり方である。
まず「学力低下による退塾」とかいうショボすぎる結論が間違っていることなどすぐに実証できる。
なぜなら学力が高くなれば退塾しないという理論が間違っている。
「難関高校進学者」はいわゆる学力向上によって塾に対してそれなりに恩があるはずだ。しかし高校部への進級率はせいぜい5割程度。
また、詳細には覚えていないが「模試データ」の優良校舎と在籍増には因果関係がほぼなかったことだけは覚えている。
私が劇的に生徒数を年間で伸ばせた理由。
それは「学力の向上及び低下は退塾の要因とならない」という仮説である。
そして「継続した通塾の要因は塾が楽しいかどうか」であるという仮説も同時に立てた。
これは私が2年目の時の話である。
そこで私は2年目のとき、
宿題を出すのをやめる
小テストのプレッシャーをかけすぎない
雑談をこまめに取り入れて笑わせる
教室内の内輪ネタを大量に作る
この4つの策によって生徒数が増加すれば、
「塾に来るのが辛くなくて楽しい」
状況が出来上がると仮説が正しいと結論付けることにした。
結果、仮説は正しかった。
成績は他校舎と比較してたいして上がっていたわけではなかったが、
生徒数は過去最高記録を叩き出すほど増えていた。
特に偏差値65以上の難関高校に通う生徒が退塾せず継続して通塾していた。
この話から何が言いたいかというと、
データを見ないで仮説を考え、
仮説を実証するためのデータを集め、
だいたい合ってそうだとわかったら実行し、
もし間違っていたら軌道修正すれば良い
ということなのだ。
これが仮説思考なのである。
世間一般的に言われている「因果関係」を裏付けするデータは意外とないことも多い。