生徒の受験前ノイローゼ、これはなかなか生徒本人はもちろん、先生にとっても辛い問題です。
しかしこれには劇的に改善できる方法があります。
公立高校至上主義の地方の受験においては、公立高校受験失敗のプレッシャーは凄まじいものがあり、失敗しようものなら学校及び塾へのクレームは当たり前に起きます。
学校なら無責任な先生呼ばわりされ、塾なら今まで払った授業料全額返せと無茶な要求が始まります。
こういったバカな親はさておいて、1番の問題は生徒がノイローゼになって勉強が捗らなかったり、おかしなことをし始めることです。
生徒が受験前にノイローゼになる理由は私も皆さんも同じような見解を持っていると思いますが、対応策が大きく違うと思いますので、今回は受験前の面談でノイローゼをどう克服するかを提案していきます。
生徒が受験前にノイローゼになる理由それは「失敗のプレッシャー」です。
これはどの先生も共通の見解として持っていると思いますし、私も正しいと思いますが、「失敗のプレッシャー」という認識だけでは対応策が「辛い壁を乗り越えてこそ人間には価値がある!」みたいな体育会系の𠮟咤激励になりがちです。この対応に問題があるわけではないのですが、私は体育会系でない方法も併用して受験前ノイローゼに対応していました。
そもそもなぜ受験に失敗することを想像してノイローゼになるのでしょうか。
それは受験に失敗した時に「周りから良くない目で見られるかもしれない自意識過剰な気持ち」なのです。
受験前ノイローゼになる生徒には「結果がどうであれ、自分には価値がある」という意識が足りません。
裏を返すと、
「公立より私立に行くのは恥ずかしい」「もしあの高校の制服着て外を歩いたら恥をかく」「浪人はニート」「あの大学に行くなんてプライドが許さない」という考えを生徒が持っています。
高校名や大学名で人の優劣を付けてしまう考えが強いと、受験失敗時に自分が周りからそう思われるのではと思い込んでしまいます。
これは「優劣を付けて劣っている方を内心バカにしている」ことの表れでもあります。この思想が受験前ノイローゼを引き起こす要因だと考えています。
優劣を付けて劣っている方をバカにする考えがついてしまう要因の一歩目は確実に「親」です。優秀な兄弟ばかり褒めたり、親が高学歴だとそれを子供に求めたり、ひどいと「私立に行く奴はバカ」なんて言う親もいます。そう言ったことを聞いて育った子供は「学歴がないと人権がない」まで思ったりするものです。
そしてその親の意見を参考にして通っている「学校」及び「塾」でさらにその思想は悪い方へ加速する場合があります。先生が優劣を付けて劣っている方をバカにするようなことを言わなくても、進学校や進学塾にいれば優劣を付けてバカにする生徒がいたりして、子供はその影響を受けるものです。
(私なんて公立高校は落ちて、その上大学受験で浪人までしたのに、滑り止めにギリ受かったレベルの学生でした。でも受験前ノイローゼにはかかったことはなかったですね。親に「別に私立に行こうが結果はなんでもいいけど、精一杯やれ」としか言われてませんでした。)
ですから受験前にノイローゼになる生徒には「歪んだ優劣を付けて優れている方を過剰に評価したり、劣っている方をバカにすることをやめさせる」だけでかなりの割合で改善します。
具体的には、
「頑張った頑張らなかったで優劣をつけるのはいいが、受かった受からなかったで優劣を付けて人を判断するな」
「失敗した人を叩く方が恥ずかしい」
「落ちようが受かろうが人間の価値は変わらない」
「人をバカにして自分を優位にしようとするな」
こういったことを教えれば、私の実感ではその後生徒は勉強に集中できるケースが圧倒的に多かったように思います。
ただし受験前のたった1回から数回の面談で治るケースもあれば、こういった指導が全く通用しない生徒がいます。
通用しない生徒の原因は親です。親が「歪んだ優劣で人を判断させる考えを子供に長年言いつけたせいで洗脳が取れないケース」です。
私は大学受験科の講師でしたが、生徒に「私立に行くの恥ずかしいじゃん」とよく言っている子がいました。ですので、
「国公立大学に行くことが全てではないし、そもそも私立大学をバカにするようなことはやめなさい。」と1年間かけて指導しましたが、改善しなかった生徒がいました。よくよく話を聞くと親が「私立に行くような奴はバカ。絶対に国公立にしか行かせない。」と言っていたようです。
親がここまで長年に渡って洗脳していると、学校や塾でそういった思想を改善するのはなかなか難しいものです。
結論
受験前ノイローゼは生徒本人の歪んだ優劣、特に劣っている方をバカにする考えをやめさせればほとんどが改善する。しかし、歪んだ優劣をつけ、特に劣っている方をバカにする親の洗脳が強いと改善しないケースが見受けられる。
〜余談〜
私はそういう親を「バカ親」と呼んでいました。全体の1%程度しかいませんけどね。学校や塾はそういった親から子供を引き離して、「正しい受験戦争」を教える場でもあると思います。